studio Odyssey



スタジオ日誌

日誌的なもの

 さすがは聖騎士、チロルさん。
 突如森に現れたという、ノヅチとかいう、蛇だかミミズだかよくわからない──頭に口しかなくて、目も鼻もない──気持ちの悪い化け物を、ざくっとその槍で突いて、あっという間に倒してしまった。ぱちぱちぱち。私とアルさんは、自分たちの出番がなかった事に喜んで拍手。
「いや、まあ、確かにただのサブクエだけど、私が全部やってしまってよかったのか?」
 心配そうに言うチロルさんに、
「なにも問題はない」
 鼻を鳴らし、アルさんは返す。
「ちゃんと経験値もはいるし、クエスト報酬も貰えるしな」
 へっへっへ、路銀が尽きかけた私たちにとっては、どんな依頼でも、さくっと解決できればいいんでさぁ。へっへっへ……ってか、なぜに路銀が尽きかけているのかと言うと、どっかのアホが詐欺にあったからなのだが、彼の名誉のためにもこの話はしないでおこう。マジ、男って馬鹿だな。いや、主語が大きすぎたな。馬鹿だな、アルベルト・ミラルスは。
 ともあれ、小さな森に面した町の自警団からの依頼を終え、私たちは意気揚々と凱旋した。
 自警団の団長さんが、寝床とご飯を用意して待っててくれるって言っていたし。

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「エルフは、肉は食わないかと思ったんだが」
 残りのミネストローネを、アルさんが突き出したお椀によそって、ダガーさん。
「いや、食うだろ」
 受け取りつつ、アルさんは言う。
「つーか、初めから、エルフ達にも給仕する気だったのか?」
「誰だって、腹は減るだろ」
「このゲームのエルフ、ちょっと特殊ですし、どうなんでしょうねぇ」
 レイさんは小首を傾げ、隣に座っていた幼いエルフを見た。彼は小さい手でお椀を抱えて、ごくごくとミネストローネを飲んでいる。他にも、若い女性なんかもちらほら周りにはいて、ニケちゃんなんて、遠巻きに見ていた昨日の弓エルフにおにぎりをおすそ分けしようとして、断られていた。自由だな、あなた達は。
 ともあれ
「よし、食った!」
 と、アルさんは口を拭って、宣言した。
「さあ──話そうか!」

続きを読む <勇者ちゃんと、王都の動乱(後編)>

 鍵石という不思議な石は、門石という石と共鳴し、ふれあう者たちをその石の元へと転移させる、不思議な力があるという。
 眉唾だなぁと思っていたけれど……
 果たして、その石の力によって私たちは、
「どこだここは?」
 という場所に飛ばされた。
 夕暮れの迫る山並みが、赤く燃えて眼下に見える。石造りの、部屋? いや、腰丈ほどの欄干が四方をぐるっと囲っているので、部屋と言うよりは、屋上のような雰囲気だけれど、屋根は──と見ると、どうやらドーム状に組まれた屋根がすぐ上に乗っているらしく、ここはどこか、高い建物の最上階のようであった。
「どこだここは?」
 再び、私の一応パートナー、剣士、アルさんこと、アルベルト・ミラルスが呟く。と、ごーんごーんと、うるさいくらいの鐘の音が辺りに響きわたった。
「ぐぉ!?」
 思わず漏らす。私じゃなくて、アルさんが。私、ギリセーフ。
 うるさいはずだ。私たちが転送された場所は、どうやら教会かなにかの、鐘楼の上階らしかった。
「おお! タイミングが悪かったですね!」
 鐘の音に打ち消されつつも、レイさんこと、暗黒騎士レイシュが、辺りを見回しながら言った。
「あそこから、下に降りられそうですね」
 部屋の隅に、跳ね上げ式の扉のようなものが見える。階下へ降りる梯子でもあるのだろうか。と思っている間に、アルさんはそこに近づき、かぱっと開けて首を突っ込んで、階下を覗き、
「きゃあああぁ!」
 と、絹を裂くような、女性の悲鳴。
 慌てて駆け寄り、不埒者をひっぺがしてぽいと投げ捨て、
「すみません! 悪気はなかったんです!」
 頭を出して言うと、そこに、修道服に身を包んだ若い女性がいた。
「あ、あなた達は、いったい……どこから?」
「ええっと……」
 なんと説明したものかなと、思案していると、
「大丈夫ですよ~」
 と、いつものほわんほわんとした感じで、導師、エルさんが私の横から顔を出した。
「ほら見てください。私は、正義と秩序の神の、神官です~」
 た、確かに。確かに正義と秩序の神は、どこの国に行っても、大抵は信頼の置ける人物として認知される。さすが! 破壊の左手はともかく!
 とう、と、エルさんは階下に飛び降りた。私も続いて、ひよいと飛び降りる。その後にアルさん、レイさん、そして聖騎士、チロルさんと──そういえば──
「私も、正義と秩序の神の聖騎士だ。怪しいものではないよ」
 神の力で肉体を強化し、癒しの祈りで戦うチロルさんも、正義と秩序の神に仕えている聖騎士だった。
「なんでしたら、後光でもお見せしましょうか~?」
 と言いつつ、エルさん、白い、神々しい輝きを身体から放つ。
「うおっ、まぶしっ!」
「溶ける!」
 男ども。ほっとく。
 修道女はエルさんの後光に気圧されて、ははっと畏まって跪くと、
「こ、これは導師様! 失礼いたしました!」
 と、頭を垂れた。
「しかし、その……導師様。ここは女性修道院。その……殿方はちょっと……」
「あー」
 アルさん、レイさんを見て、チロルさんは苦笑する。
「そうか。ここは、勇者の性別で変わるんだったな」
「なんだ? めんどくせーやつか?」
「大丈夫ですよ~」
 そして、エルさんは言った。
「彼らは、私の下僕ですから~」
「下僕!?」
「いつの間に!」
「ほらほら、下僕~。人間の僕、卑しい哀れな犬っころ~。さんべん回って、ワンですよ~」
「ののれ……わん!」
 いやいや、やるかね……

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2019.01.01

平成最後とかなんとか

Written by
しゃちょ
Category
日記

 明けましておめでとうございます。

 平成最後とかなんとか、そんな本年でございますが、今年もstudio Odysseyは、特に何も変わりませんよー。ええ、変わりませんからねー。

 なので、旧年より連載中の、勇者ちゃんシリーズを、今年も続けます。今のところ、今年いっぱいは連載される予定です。多分、来年度いっぱいくらいまでいくんじゃないかな。想定では、13話やる予定なんですけど、次回の5話が、5話上と下になる感じなんで、これはもう、13といいつつ、13で終わらないんじゃないかなとか。

 ともあれ、ここ数年のstudio Odysseyはたいした更新もなく、だらだらしていたので、連載があるだけでもまぁ、ちょっとはマシと。

 勇者ちゃんは、読んでくれれた方はわかるかと思うのですが、キャラクターが、スター・システム的な感じで、どっかで見たことのある人たちになっています。まぁ、題材も題材だしね。

 書きやすい奴らなので、多分、ちゃんと13話、書き切れるんじゃないかなーと思っています。

 どっかのタイミングでページもまとめると思いますが、楽しんでいただければと思います。

 5話は、多分、1月中には更新されると思います。