studio Odyssey



スタジオ日誌

日誌的なもの

 さすがは聖騎士、チロルさん。
 突如森に現れたという、ノヅチとかいう、蛇だかミミズだかよくわからない──頭に口しかなくて、目も鼻もない──気持ちの悪い化け物を、ざくっとその槍で突いて、あっという間に倒してしまった。ぱちぱちぱち。私とアルさんは、自分たちの出番がなかった事に喜んで拍手。
「いや、まあ、確かにただのサブクエだけど、私が全部やってしまってよかったのか?」
 心配そうに言うチロルさんに、
「なにも問題はない」
 鼻を鳴らし、アルさんは返す。
「ちゃんと経験値もはいるし、クエスト報酬も貰えるしな」
 へっへっへ、路銀が尽きかけた私たちにとっては、どんな依頼でも、さくっと解決できればいいんでさぁ。へっへっへ……ってか、なぜに路銀が尽きかけているのかと言うと、どっかのアホが詐欺にあったからなのだが、彼の名誉のためにもこの話はしないでおこう。マジ、男って馬鹿だな。いや、主語が大きすぎたな。馬鹿だな、アルベルト・ミラルスは。
 ともあれ、小さな森に面した町の自警団からの依頼を終え、私たちは意気揚々と凱旋した。
 自警団の団長さんが、寝床とご飯を用意して待っていてくれるって言ってたし。

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