studio Odyssey



スタジオ日誌

日誌的なもの

「エルフは肉は食わねーかと思ったんだが」
 残りのミネストローネを、アルさんが突き出したお椀によそって、ダガーさん。
「鳥は食うのか」
「あ、これ、鳥はいってたのか?」
 受け取りつつ、アルさんは言う。
「俺のところにはいなかったぞ?」
「まあ……量の割には少な目にしたしたな。エルフが肉類ダメだと、残るかもしれねーと思ったし」
「始めからエルフにも給仕する気だったのか」
「誰だって、腹は減るだろ」
「いえ……このゲームのエルフ、ちょっと特殊ですし、どうなんでしょうねぇ」
 レイさんは小首を傾げ、隣に座っていた幼いエルフを見た。彼は小さい手でお椀を抱えて、ごくごくとミネストローネを飲んでいる。他にも、若い女性なんかもちらほら周りにはいて、ニケちゃんなんて、遠巻きに見ていた昨日の弓エルフにおにぎりをおすそ分けしようとして、断られていた。自由だな、あなた達は。
 ともあれ
「よし、食った!」
 と、アルさんは口を拭って、宣言した。
「さあ──話そうか!」

続きを読む <勇者ちゃんと、王都の動乱(後編)>

1