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勇者ちゃんシリーズ

 2018年4月から2023年4月まで連載された勇者ちゃんシリーズ一覧。
 全20話、約74万字。(一話3万~4万)

 公開順。

勇者ちゃん、旅立つ!

 あれは、16歳の誕生日。  私は──勇者の子は──旅立った。  この物語は、その勇者の子である私が、やがて伝説の勇者と呼ばれ、その仲間たちと共に世界を救う事になるまでの、長い長い、旅の記録である。...

勇者ちゃん、街道を行く!

「ま、まあ、あれです。どうぞ」  と、私は皆を促す。  夕暮れ、城壁から少し離れた、街道はずれの森の入り口。小さな湖の畔に、バンガロー風の家。私の生家だ。もう戻ることはないだろうと思っていたけれど、...

勇者ちゃん、ダンジョンに挑む!

「なるほど、やはりそうか」  と、テネロパ鉱夫ギルドの長であり、この街の実質トップでもある壮年の男性は、唸るようにして呟いた。 「この信書の中身については、何か聞いているのか?」  テネロパの中央区...

勇者ちゃん、森を征く!

 森に面した、小さな村、パルベ。  その小さな村の、小さな酒場に、私たちはいた。 「いやいや、だからちげーよ」  ダガーさんが、私の手元を覗き込みながら言う。そうは言ってもだな…… 「えっと……だか...

勇者ちゃんと、王都の動乱(前編)

 鍵石という不思議な石は、門石という石と共鳴し、ふれあう者たちをその石の元へと転移させる、不思議な力があるという。  眉唾だなぁと思っていたけれど……  果たして、その石の力によって私たちは、 「ど...

勇者ちゃんと、王都の動乱(後編)

「エルフは肉は食わねーかと思ったんだが」  残りのミネストローネを、アルさんが突き出したお椀によそって、ダガーさん。 「鳥は食うのか」 「あ、これ、鳥はいってたのか?」  受け取りつつ、アルさんは言...

勇者ちゃんと、錬金術師の塔

 さすがは聖騎士、チロルさん。  突如森に現れたという、ノヅチとかいう、蛇だかミミズだかよくわからない──頭に口しかなくて、目も鼻もない──気持ちの悪い化け物を、ざくっとその槍で突いて、あっという間...

勇者ちゃんと、竜の赤い石(前編)

 ぽくぽくと、夜明け前の丘を、馬で行く。  西へと伸びる巡礼路は、この丘の向こう、ナール帝国、デヴァリ公国領、エル・トゥラ=ランサ自治区へと続いている。  背中から差し込んでくる朝日が、下草もまばら...

勇者ちゃんと、竜の赤い石(後編)

 それからまた、数日。  配達のお仕事をやったり、研究室に顔を出したり、いつの間にか聖堂城の立ち番に顔を覚えられたりして、何日後かの、満月の夜。  こっそり、私たちは研究室を抜け出した。  研究室前...

勇者ちゃんと、偽りの女王(前編)

 草木の生えない山の上に、その遺跡はあった。  アルさん曰く、森林限界と呼ばれるその先にあった遺跡は、小さな魔力の塔を護るように造られた、かなり古い時代の城塞遺跡であった。 「鉱石魔神がわいてるって...

勇者ちゃんと、偽りの女王(後編)

 燃えさかる炎を沈めるために、ネリさんとむぎちゃんが魔法を詠唱し、局地的な雨を降らせていた。  音もなく降り続ける、霧雨のような雨。  足元に立ち込める薄靄を割って、私たちは倒れたアーオイルの元へと...

勇者ちゃんの、世界の記録

 海から吹き付ける、氷を含んだ冷たい風。  厚い雲に覆われた、北の大地のその向こう。  灰色の空が覆う冷え切った草原の中に、その巨石群遺跡はあった。 「ストーンヘンジより、圧倒的に大スケールだな!」...

勇者ちゃんの、運命の向こう(前編)

「すげぇ!」  アルさんが飛竜の背の上で声を上げた。  見渡す限り、視界のすべては海、海、海。その眼下、ぽっかりと海に大穴が空いていて、そこに滝のように海水が流れ込んでいる。  果ての海のその向こう...

勇者ちゃんの、運命の向こう(後編)

「ユリアー!」 「わ! どうしました!?」  そんなこんなで、私とアルさんは北限の村のさらに向こう、北の最果て、オルムがすべての叡智を残した遺跡の最奥、シーカー達の研究室のドアをばーんと開けて飛び込...

勇者ちゃんの、勇者の資質(前編)

 下の世界、カラニアウラの昼は薄暗く、空は常に厚い雲に覆われていた。  荒涼とした大地に転々と存在するオルムの遺跡には、寄り添うようにオルムの子孫たちがほそぼそと暮らしていたが、その数はごくわずかで...

勇者ちゃんの、勇者の資質(後編)

 その何かは私たちに気づくと、ゆっくりと振り向き、眼球のない眼窩を私たちに向けた。  冥府、135階。  その階層に唯一存在する神殿の最奥に──それはいた。  冥府の女王。  アーオイルが錬金術から...

勇者ちゃんの、賢者の石

 それは、後から聞いた話だ。  突然目の前に現れたパーティリーダーのクエスト受注選択画面に、バンガローのリビングにいたみんなが驚きに目を丸くしていた中で、エルさんただ一人だけが、「だから言ったじゃな...

勇者ちゃんと、MMO RPG

 分厚い鉄の扉が、鈍い音と共に開かれる。  その音に、私は深い眠りの底から世界に引き戻され、覚醒した。  扉の向こう、暗い通路の向こうから差し込んでくる光が私の頬に熱を与え、意識をはっきりとさせてい...

勇者ちゃんと、伝説の勇者たち

「総員、待避ー!」  最前線で鉱石魔神の猛攻を押さえていたレイさんが、振り向きざまに叫ぶ。 「もー! 無理ー!」  きびすを返し、走り出すニケちゃん。 「おやおや、まあまあ」  と、エルさんはステッ...

勇者ちゃん、勇者になる!

 セントラルキャビティの最奥。  魔力の塔の中心を一番下まで降りたところには、淡く光る不思議な文様が描かれている。  生きている魔力の塔の蒼い光の中で、私はうっすらと目を開けた。  ええっと──どう...


2023.12.19

FF14、ミラプリタンク編

Written by
しゃちょ
Category
ネトゲ

 ごきげんよう。ルキノファッションショーもついにラスト。タンク編。

これは、アジムステップで空が青かったから撮った奴

 あとちょっと! あとちょっとだから! 最後まで見ていって! あめちゃんあげるから!

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2023.12.19

FF14、ミラプリDPS編

Written by
しゃちょ
Category
ネトゲ

 はいどーもー! ルキノんファッションショーへようこそー! いや、テンション上げないとつらいだろ? わかるだろ? わかれよ、なあ。

ぼっち探索

 画像は一人でイヴァリースのどっかを探検している私です。意味は無いです。ぼっちです。いいんです!

続きを読む <FF14、ミラプリDPS編>

2023.12.14

FF14ひさしぶりに書くよ!

Written by
しゃちょ
Category
ネトゲ

 みんな。ごきげんよう。何年ぶりだ?

 6年くらいか? 調べたら8年ぶりだった。え? マジか。知らない人のが多くね? FF14版ルキノです。

ひさしぶりだな

 と、言うわけで、長らくこのブログで連載していた勇者ちゃんシリーズも終わり(5年)、さて、ゲームでもすっかなと言うことで再び戻ってきました。恥ずかしながら帰ってまいりました。

続きを読む <FF14ひさしぶりに書くよ!>

2023.10.28

勇者ちゃん あとがき

Written by
しゃちょ
Category
読み物
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※このあとがきは、勇者ちゃんの最終回を書き上げ後に書いたもので、未公開のままにしていたものを、あえて半年経ったあとに掲載したものです。

 あのですねー、Twitterをですね、やっているんですね。2015年の2月からだったかな? なので、Twitterの方が、このあとがきよりも先にいろいろ呟いちゃっているんですけど、あれは流れてしまうので、あとがきにもちゃんと書いておくんですけどね。

続きを読む <勇者ちゃん あとがき>

 セントラルキャビティの最奥。
 魔力の塔の中心を一番下まで降りたところには、淡く光る不思議な文様が描かれている。
 生きている魔力の塔の蒼い光の中で、私はうっすらと目を開けた。
 ええっと──どういう状況だったっけな?
 覚醒はしたものの、一旦目を閉じ、状況を整理する。
 あの後、「で、このお父様を我々はどうしたらよいのだ?」などと言うアルさんに、「しりませんがな」と異口同音に返したレイさん、ネリさん。「とりあえず、パーティには入れないでしょうね」「NPCとして作られていませんから、そもそもステータスがありません」「これはお帰りいただくしか~」と、最終的にはエルさんの提案によって私の鍵石を渡し、父にはルーフローラへと戻ってもらったと記憶している。「親子の再会なのに、なんもナシでいいのか?」「いや、お互い、何を話したらいいのかわかんないし……」「いろんな意味で深い台詞だな」「主に貴方の所為ですが?」
 そして気を取り直し、私達はセントラルキャビティを下へ下へと降りていったのだが──その後、最奥にたどり着いた辺りで、何故か私は強い眠気に襲われてしまったのだった。
 そして──記憶がない。
「おや、アルさん、早いですね」
 と、レイさんの声が聞こえてきた。

続きを読む <勇者ちゃん、勇者になる!>

「総員、待避ー!」
 最前線で鉱石魔神の猛攻を押さえていたレイさんが、振り向きざまに叫ぶ。
「もー! 無理ー!」
 きびすを返し、走り出すニケちゃん。
「おやおや、まあまあ」
 と、エルさんはステップを踏みつつ後退。それに続くダガーさん、ネリさんは「こりゃやべぇ」「戦略的転進ですね」と、すたこらさっさ。
「殿、務めます! レイさん先に!」
 戦旗槍を大きく振り抜き、聖騎士チロルさんが殿に立って叫ぶ。と、
「くっ! チロルさんが殿だと、あとは任せた! と言って逃げ出しにくい!」
「私ならいいというのですかー!」
 はいはい、いつものいつもの。
「だがしかし!」
 我が相棒、アルさんこと、アルベルト・ミラルスは言った。
「総員、待避ー!」
 無数の、数百という単位に違いないという鉱石魔神の大群に背を向け、私たちはあの要塞遺跡、バリトゥーヤの円形広場から、脱兎のごとく逃げだしたのであった。

続きを読む <勇者ちゃんと、伝説の勇者たち>

 分厚い鉄の扉が、鈍い音と共に開かれる。
 その音に、私は深い眠りの底から世界に引き戻され、覚醒した。
 扉の向こう、暗い通路の向こうから差し込んでくる光が私の頬に熱を与え、意識をはっきりとさせていく。
 ここは──
 目を細め、私はその向こうを見た。
 影が言う。帽子のつばに手をかけて。
「どうも」
 そこにいたのは大魔道士──補佐見習い候補──のネリさんだった。ネリさんは帽子に手をかけたまま私に向かって、
「お久しぶりです」
 なんて言って、声をかけた。
「……どういうこと?」
 聞きつつ、私はゆっくりと立ち上がった。そのついでに状況を確認しようと周りを見回すと、ここはどうやら牢獄のようだった。簡素なベッドと机と椅子が一組。部屋の隅に壺。マジか。
「状況がわからない」
 言いつつ、扉の方へと進んでいく。
「でしょうね」
 などと言いつつ、ネリさんは道を空けた。扉の向こうは石造りの薄暗い一本道で、ここはどこかの地下だろうか。その狭く暗い通路を照らすのは、ネリさんについて来ていた二人の兵士らしき人が手にしていた大きなランタンと、通路に等間隔に置かれた蝋燭の灯りだけだった。
「どうぞ」
 と、ネリさんに剣を差し出されて気づく。腰に剣がない。どころか、服が、質素な貫頭衣を腰紐で結んだだけの、大分みすぼらしい格好じゃないか。一体何があったのだ?
 ハテナハテナで、とりあえず剣を受け取り右手に持つ。
 そして、私は聞いた。
「さっぱり訳がわからないのだけど?」
「おっと、左手は使わないでください、まあ、多分使えませんけど」
「どういうこと?」
 首を傾げつつ、手のひらを上に向けた左手に意識を集中すると、ぱちぱちと赤い光が少し弾けて──けれど、そこに私の石は姿を現さなかった。
「あれ?」
「それも含め、ご説明いたしますので、どうぞ」
 そう言って、ネリさんは私を促した。
 ああ……なんとなく、想像がついた。
「なんかしたね? この世界の神様たちが。私に」
「そういう言い方をしないでください。マジで」

続きを読む <勇者ちゃんと、MMO RPG>

 それは、後から聞いた話だ。
 突然目の前に現れたパーティリーダーのクエスト受注選択画面に、バンガローのリビングにいたみんなが驚きに目を丸くしていた中で、エルさんただ一人だけが、「だから言ったじゃないですか~」なんて笑っていたと。
 配信を見ていたアカーシャさんからのメッセに、何事か解らずリビングに慌てて戻ってきたチロルさんに、「ああ、チロルさん。お邪魔してます」などといつものように笑って、そして戻った私とアルさんに、
「男を見せましたね~」
 なんて言って笑って、
「何その、高校生の告白イベントみたいな感想」
 などと、ニケちゃんにイジられたりとかなんとか。

続きを読む <勇者ちゃんの、賢者の石>

 その何かは私たちに気づくと、ゆっくりと振り向き、眼球のない眼窩を私たちに向けた。
 冥府、135階。
 その階層に唯一存在する神殿の最奥に──それはいた。
 冥府の女王。
 アーオイルが錬金術から生み出した、古き神のなれの果て。
 かろうじて人の身体を保っているそれが動くと、ぼろぼろと蛆の湧いた肉が辺りに落ち、腐臭がぞわぞわと足下を流れてきた。
「ひでぇモンだな……」
 剣を構えた私の隣、アルさんが呟く。
「出来損ないの賢者の石に死すらも奪われ、神にもなれず、ただただ冥府に蠢くもの……」
「引導を渡してやるのが、せめてもの情け」
 答え、レイさんは構える。
 そして──
 眼前、私たちに振り向いたそれが、冥府を震わす悲鳴のような咆哮をあげた。声に、頭がぼこぼこと内側から沸騰するように弾け、雷を纏った黒いヒトガタの何かがもぞりと姿を現す。続いて弾けた胸から、腹から、足の間から両手、両足と──計八体のおぞましいヒトガタが次々と姿を現し──顔に当たる部分の半分以上を占める口のような穴の奥から、怨嗟の声を轟かせた。
「いくぞ!」
 剣を振るい、アルさんは叫んだ。

続きを読む <勇者ちゃんの、勇者の資質(後編)>

 下の世界、カラニアウラの昼は薄暗く、空は常に厚い雲に覆われていた。
 荒涼とした大地に転々と存在するオルムの遺跡には、寄り添うようにオルムの子孫たちがほそぼそと暮らしていたが、その数はごくわずかで、古きオルムの作り出した鉱石魔神の方が多いくらいであった。
 静かに滅び行く世界、アウラ。
 私たちはオルムの古き言葉に従い、その世界の遺跡を辿りながら、アーオイルの聖地、ルルスを目指していた。
 空を飛べば──というのは最もな話なのだが、アウラの空は聖地ルルスを中心に、巨人との戦いの際に構築された魔力の壁によって覆われていて、その空を自由に飛ぶ事はかなわなかった。
 アーオイルが賢者の石の欠片を再び賢者の石に結合し、輝かせるためには、この澱んだマナの停滞する大地ではそれなりの時間が必要だろうというのが、ナルフローレの見解だった。どれほどの期間が必要となるかはわからないとの事であったが、私たちとナルフローレの聖騎士達は、いくつかのグループに分かれ、いくつかのルートで聖地ルルスを目指していた。
「代わり映えのしない世界だな」
 台地の上から、アルさんは広大な荒れ果てた世界を見下ろし、呟く。
「静かに滅び行く世界……だって」
 私は隣に立ち、それに返した。
「なんでこんな風になっちゃったんだろうね……」
「オルム曰く」
 アルさんが返していた。
「世界の公理、摂理、その創世に手を伸ばしたが故に、世界によって滅ぼされようとしているとかなんとか」
「人が神になろうとしたが故に?」
「さてね? 俺は別に神の力には興味がないんで、さっぱりわからん」
「私も、別にないけども」
 ひとつ息をついて、私もまた荒涼とした大地を見下ろしながら呟いた。
「アーオイルはなんでまた、そんなものに手を伸ばそうとしたんだろうね」
「ん?」
 アルさんは私の横顔を見、喉を鳴らすようにしてから聞いた。
「それは勇者ちゃん、俺に意見を求めているのか?」
「別に求めてはいないけども。考えがあるなら、聞くよ」
「別にない」
「でしょうね」
 静かに滅び行く世界、アウラを向こうに見つめながら──アルさんは言っていた。
「何かの理由があったんだろうと思いたいのか? まぁ、この旅路でそれを知ることも出来るとは思うが……」
「で、知った上でさ。それがもしも……もしもだよ? 共感できるような内容だったとしたら、アルさんはどうする?」
「世界を滅ぼすこともやむなしとするかって?」
「いや……まぁ……そうなるのかも知れないけれど……」
「それは……その時にならなきゃわからんな」
「ずるいな」
「おう」
 そして、アルさんはいつものように笑っていた。
「そもそも俺は勇者じゃねぇし、救世の英雄でもないしな」
「押しつけようとしてる?」
「昔、世界を救ったとある魔導士が言っていたんだがね……」
「なにをさ?」
「世界を救うってのは、滅亡の矢面に立つって事だ」
「どういうこと?」
「つまり滅亡の矢面に立つって事は、見たくもねぇモンも見なきゃならねーし、知りたくもねーようなことも聞かされちまうし、いいことなんか、なーんもねぇって事だよ」
 アルさんは滅び行く世界のはるか向こうを見つめながら、
「それでも世界を救うなら、それなりの理由を、自分自身で見つけるしかねぇんだ」
 そう言って笑い、歩き出した。
 理由──ねぇ……
 その背中へ、
「ああ……女の子を助けるためとか?」
 と、言うと、
「それ以上の理由はいらねぇな」
 歩きながら振り向きもせず、アルさんは左手をひらひらと振っていた。
「……そんなことだろうと思ったよ」
 仕方なくて、私も一つ息をついて、その背中に続いた。

続きを読む <勇者ちゃんの、勇者の資質(前編)>