デーンデーンデーンデデデーンデデデーン。
な、感じの頭部が降って来る──のか否か。はてさて、メガネの暴走に、ラガンはいかにして立ち向かうのか。
そんなこんなで、
「とおう!」
トーちんは多目的教室の割れた窓から、グラウンドに飛び降りた。
「ここ、三階!?」
「まあ、トーちんなら問題ないよ」
どしゃーんと、大地をひび割り、トーちんはグラウンドに着地する。重量感が意味不明だが、気にはしない。
そしてもうもうと舞う土煙の中、トーちんは空を見た。
「あれかっ!?」
上空に、何かの黒体。
「ビッグメガネ!!」
「ふ......はーっはっは! そうだ、トーちん! あれこそが、ビッグメガネ様! 世界を、トーちんを、俺様の腕の中に永遠に閉じ込めるために、今、ここに、降臨なさるるのだぁぁぁ!」
いつの間にやらグラウンドに降りてきていた加賀が、ずびしとトーちんを指差して言う。
「アホなことをしやがって──!」
いや、お前ら今まで、それ以外のことをしていたか?
「あれを止めろ、加賀!」
「厶ぅぅぅリだね、トーちん! 王たる俺が望んだのだ。俺を殺すでもしない限り、あれは止まらんぞ! って、エエええぇぇー!!」
問答無用で殴りかかったぞ、こいつ。
「......避けるな」
「避けるわ!」
「愛しているなら、殴られろ。そして、死ね!」
「バイオレンスラヴ!?」
再び殴りかかるトーちんをかわす加賀。
「ちぃっ!」
「マジだな、トーちん! それくらい、俺を愛してくれていれば!」
「お断りだ!」
「ビッグメガネ様、どんどん近づいてるよー」
多目的教室の窓から身を乗り出して叫ぶ遊人に、何だ何だと他のクラスの連中も顔を出す。あ、ボブ先生......
「トーちん! なんとかしなさいよ!」
霰が言った。
「あの空から落ちてくるビッグメガネ様が地球に衝突したら、マジで人類滅亡じゃ済まされないわよ!」
説明に、窓から顔を出していた生徒たちも空を見て、「おおー」と唸った。霰、説明ありがとう。でもみんな、ああ、あいつら、またなんかやってるって感じだけどな。日常日常。超日常。日々是人類滅亡。
「加賀!」
かわしまくる加賀にしびれを切らし、トーちんは指を突き付けて言った。
「お前がその気なら、俺にも考えがあるぞ!」
「ほう......」
メガネくいっで、返す。
「俺様の気持ちに、ついに気づいたのか、トーちん......」
うん、多分、話、噛み合ってない。
「ラガンの力を──」
トーちんの裸眼が、ぎらりと輝く!
「使わざるをえんなあ!」
「それを待っていたのだ、トーちんんん!」
トーちん、踏み出す!
パンチ!
加賀、迎え打つ!
パンチ!
トーちんの輝く右目、加賀の輝くメガネ、そして二人の輝く拳がぶつかり合い、衝撃波が大地を駆け抜けた!
「ラストは、王道バトルものだー!!」
窓から身を乗り出す観客を煽るのは遊人だ。
「あの......人類滅亡の危機って......」
霰の呟きは、誰の耳にも届かない。
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