studio Odyssey




スタジオ日誌

日誌的なもの

2015.11.27

メガネvsラガン3

Written by
しゃちょ
Category
読み物
Tags

 さて、いい加減、いろんなことは置いておいて、垂れ流される日常を、あるがままに受け止めて生きることこそが、唯一の救いと、みなさまも感じ始めている事だろう。
 そんなこんなで、三話。私はこんな日常、全く望まない。
 はてさて、トーちんは教室へと入る。
 一限のチャイムが鳴ろうかという三分前──
「完璧だ。俺の記録は、今日も守られた」
 ご満悦、だがしかし──!
「あら、遅かったわね。出席をとるわよ、席につきなさい。トーちん」
「やはりでくさったか、貴様ぁ!」
 後ろにいた遊人を引き寄せ、首筋チョップ! 目からビーム! 流れるようにスムーズ!
 放たれた先にいた相手は、
「ひゃわぁぁぁぁぁ! ちょっと! やめなさい! 先生に向かってなんてことするの!」
 とか言いつつ、かわす。ビームをかわす女、誰であろう、
「入道雲 霰! お前、前回出番ほとんど無かったから、今回だろうとは思っていたが、いきなりか!」
「僕なんて、前回、死んだとか言われてたのに、ナチュラルにトーちんの後ろにいた事にされてたよ......」
「シーン変わったしな」
「ボクはシーン一回の、打てば響く便利アイテム扱いだったのか......」
 ともあれ、
「入道雲、てめぇ、まったく予想通りの行動をとりやがって! しかも先生だと! ふざけるのも大概にしろ! お前は生徒だろうが! 担任のボブはどうした、ボブは!!」
 前回の予告に出てたボブ、担任だったんだ......
「ボブ先生は、今日から産休をとりました。よって、今日からこのクラスは、独立風紀委員会の管轄になりました」
「まて、ボブは男だ」
「最近は殿方も、産休をとるのよ?」
「ジェンダーフリーってやつだね」
 お前が言うと、深いな、男の娘。

 ともあれ、
「し、しかし、百歩譲って産休だとしても、だ! だからと言って、なんで委員会の管轄になるんだよ!」
「私がそう決めたから」
「横暴な奴め......」
「さすが、教員にも縛られず、生徒会すら無視し、教育委員会すらも権限が及ばない、この学校最高の独裁機関、独立風紀委員会だね!」
「この腕章は伊達じゃない!」
 そんな設定あったな......本当だったんだ。あ、なお、このやり取りは教室の前の方、教壇の上で行われているわけだが、他の生徒たちがどうしているかと言うと、観客している。後ろのドアから顔を出している奴とかもいる。もはや、ショー。
「この独裁者め!」
 びしっと霰に指を突きつけるトーちん。
「訴えてやる!」
 誰にだよ。
「いや......それじゃ生ぬるいな......クーデターだ!クーデター!」
 政変、という意味では、正しい......のか?
「クーデターって、どうやって?」
 と、素朴な疑問を遊人が口にする。
「いや、よくはわからないが、とりあえずそうだな......盗んだバイクで走ってみたり、窓ガラス割ってみたりすればいいんじゃないか?」
「どこの尾崎」
「とりあえずクーデターだ、クーデター! 暴力で解決! たぶんクーデターって、そういうモンだろ! なあ、みんな!」
 一般生徒を巻き込まないでいただきたい。というか、みんなして、ノーセンキューなジェスチャーはやめろ。
「おらあ!」
 と、トーちんは教壇を蹴った。クーデターの一部らしい。
「ちょっと、教卓を蹴らないで!出ちゃうから!」
 慌てる霰。
「何がだ? 蹴ったら、何か出てくるのか?」
 がんがんと、トーちんは教壇を蹴った。と、中から、「Hahaha」と転がり出て来たのは、
「ほう......」
「出てくるな、ボブ!」
 蹴り戻される。
「ふぅ......と、いうことで、ボブ先生は産休で、あたしが代理っ! いいわね!!」
「ふむ......まあ、ボブのことはいい」
「いいんだ!?」
「比較的どうでもいい。それよりも、貴様が担任だとのたまい、あまつさえ、ホームルールの出欠を今から取るなどという行いは、断じて認めん」
「神子遊人、ホームルーム、出席。まる」
「はーい! やったー、もうけー」
「トーちん──」
「俺は認めん! みんな、ホームルームは終わっている! ボブ先生の最後の言葉を思い出すんだ!」
 死んでないから。教壇の下にいるから。「Hahaha」
「みんな、体制側の言いなりになっていいのか! 俺たちは、自由を、青春を、謳歌すべきじゃないのか! ボブ先生の最後の言葉を思い出すんだ! 思い出せないと言う者には、このラガン最強の、問答無用無差別調停兵器、遊人キャノン1号携行型が火を噴く」
「勝手に携行重火器扱いだよー」
 そしてトーちんはクラスメイトに問う。
「右の目からビームかー?」
 No!No!No!!
「左の目からビームかー?」
 No!No!No!!
「もしかして、両方?」
 遊人、小首かくん。いやいや、流石にそれもNoだから。
 だがしかし、
「もしかして──!」
 その言葉と共に、教室のドアがけたたましい爆発音と共に吹き飛ばされた。叫びながらそこに姿を現したのは──!
「オラオラですかー!?」
 オラついた、
「加賀!?」
 こと、変態。
 固有名詞。
「てめえ、クラスメイトまで巻き込むとは、どういう了見だ!?」
 お前、さっき......
「なにしてんのよ、加賀! 無関係のクラスメイトまで巻き込むなんて、遊人くんじゃあるまいし!」
「なんで!? とってつけたようにディス!?」
「つーか、クラスメイト全員、今の爆発でふっとんでったぞ? 読者的には、全くわからなかったろうが」
 そんな訳で、クラスメイトたちは吹っ飛んで行ったらしい。大丈夫だ。私が死んでいないと言えば、誰一人死んでない。つまりみんな無傷。イモータルオブジェクト。
 ともあれ、
「ふ......っ」
 壁をオラつきパワーで吹き飛ばした加賀が、くいと眼鏡を上げつつ、言う。
「みんな、僕の前に立ち塞がるからだよ......」
「いや、むしろお前が、交通ルールを守ってない系なんじゃないか?」
「あなたが言えたものじゃないでしょう。人の道的な事で言えば」
「うるさい外道」
「愚かだわ......」
「争いは、同じレベルでしか起こらないって、あっちのカンガルーが言ってたよ」
「「一緒にすんな!(しないで!)」」
「俺を無視するな! トーちーん!!」
 怒りに吠えた加賀の身体を、オーラが包む。
「ま、まじかぁ!?」
 スーパーナントカ風味の加賀に、遊人。
「か、加賀君、落ち着いて......!」
「黙れ、女男ッ!」
「非道い!」
「しねぇ!」
「危ない! 遊人!」
 加賀のメガネがぎらりと光り、ビームを放つ。
「きゃう!?」
 間一髪、かわす遊人。
 トーちん、それを見て、
「加賀! てめぇ。どういう了見だ!」
「危ないって言った割には、微動だにしなかったわね、貴方」
「当たったら、俺が痛いだろうが」
「ド外道ね」
「トーちんひれつだよー......しんじらんなーい......」
 そんな会話を聞いてか聞かずか、まあ、聞いてないんだけど、加賀は目を伏せ、眼鏡を上げつつ呟いた。
「ふ......トーちん......いいんだ......僕はもう、わかったよ......わかってしまったんだよ......」
「な、何がだ?」
「トーちんの心が、もう、僕にはないことを、だよ......」
「ハナからねぇよ」
 即答だったな。
「そう......僕は気づいた......そして──」
「聞く耳ねぇのかよ」
 ないね。
「そして、トーちん、キミの心がもう、ボクにないのなら......そして帰ってこないのなら......トーちん......」
「な、なんだ?」
 そして加賀は、オーラを弾けさせながら宣言した。
「ボクは......あなたを殺して、ワタシも死ぬわぁぁぁぁぁあ!!」
「迷惑だ! 他所でやれ!!」
 即答。だけど、文脈無視! 無論、加賀も文脈無視!
「トーちん、死んで! そして、永遠にあのときのまま、愛し合った瞬間と書いて時のまま、ワタシの中で生き続けて!!」
「あの時って、いつだよ! ねーよ! 過去も未来も永劫ねぇよ!!」
「問答無用!」
「無用かよ!?」
 右手をピースにして、横に傾け、腰に手を当て、メガネからビーム!ずっきゅーん!
「キメェ!?」
 言いつつ、トーちんは素早く動く。何故なら自分が狙われたから。立ち位置的に、霰がそこにいたから。
「身代わりの術!」
「ぎゃふん!!」
 ビームは霰にあたり、ぼんっと大爆発をした。ビームなのに、何が爆発するのかは不明だ。だが、
「......なぜ?」
 と呟き、どさりと倒れた霰に、これだけは言える。
「トーちん、マジ外道」
「落ち着け、加賀ぁ!」
「ふ......安心して、トーちん」
「な、何がだ?」
「驚くほど落ち着いているわ。これから、あなたを殺すと決めたのに......」
「そっちの方向じゃねーから! な!?」
「死んで!トーちん!!」
「よせ、加賀ッ!! これ以上、無駄な犠牲を──!」
 加賀、三度、メガネを光らせ、キラッ☆ビーム!
「ウボァ!?」
 今度は遊人が爆発した。
 遊人、どさり。
「なんでボク?」
「やめろ、加賀! これ以上無駄な犠牲を増やすんじゃない!」
「しかも無駄扱いだよ......」
「ふん......これで、邪魔者はいなくなったわ」
 無駄じゃなかったらしい。超ポジティブ。悩んでも仕方ない。
「計ったのか!? 遊人と入道雲を先に狙うとは......卑劣なり! 加賀!」
「ボク、盾にされた感じだったと思うんだけど?」
「私、しっかり身代わりって言われたんですけど?」
「さぁ、トーちん。もう逃げ場はないよ。盾もない」
 盾認定。
「くそ......」
「キミの取れる最後の選択肢は、ふたつ......ここでボクに殺されるか......ボクの愛を受け入れるか!!」
「その二つしかないのか......」
「ない!」
「ならば......俺も男だ!」
「トーちん......まさか、ボクの愛を......」
「ああ......俺も男だ......腹を据えよう......」
「トーちん......」
「だが、断る!」
「ならば死ねい!」
 打てば響くとは、まさにこの事かと言うほどに全力で、加賀、メガネからビーム!
「キラッ☆と、ずきゅーんで、大爆発♪」
 ......キメェ。

「──次回予告......」
 遊人よ、倒れたまま、何も律儀にやらんでも......
「リミットを越え、その力を行使する寄生生命体メガネ......なんとかして自分への被害を最小限にしようと、次々と道行く学友を盾にして逃げるトーちん......」
 恨み節の目が死んでるぞ。
「対して、破壊され尽くされる教室、廊下、または校舎......行き場のない、愛という狂気に心を包まれ、全てとともに無になろうとする加賀が、決意の末に取った行動とは──」
「次回、メガネ vs ラガン、4th.」
 霰まで......
「そぉう! 俺は、何もいらなかった! トーちん以外は!」
 何故お前までノリノリなんだ、加賀ァ!?
「その愛を受けれないのならば......こんな世界は......」
「やめろぉぉ! 加賀ぁあ!」
 お前、爆発しだろ、トーちん。
 何故か爆発背景で立ち上がっている遊人が、
「次回、狭き世界の頂きで、愛を求めたメガネ!」
 右手ピースを横にして、キラッ☆!
 ......それ、お前もやりたかっただけだろ。頷くな。


トラックバックURL

http://blog.studio-odyssey.net/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/910


コメントする