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スタジオ日誌

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2012.03.18

星を追う子ども

Written by
しゃちょ
Category
アニメ

 PS3を買ったので、ついにブルーレイが見られるんだ!と言うことで、ブルーレイのソースを買おうと、新海誠の最新作、「星を追う子ども」を買った。

 まぁ、買ってから一週間くらいは、忙しくて見られずに放置していたのだが、昨日、ついにみみんからPS3を奪い、いざ、視聴。

 みみん曰く、「ああ、ジブリ」

 何を言っているんだ、おまえは。新海誠は確かにふぁんたじぃだが、ジブリではない。全く、そんなんだから、お前は何を見ても...

 

 ジブリだったー!

 僕は見たい映画とか、読みたい本の情報は、事前に仕入れないようにしている。初めて見た時の感動というか、出会いというか、そういうものを大切にしたいからだ。いや、まぁ、簡単に言えば、楽しみにしてんだから、お前ら言うなよ!って感じ。

 なので、極力、情報を仕入れずに見ることにしているのだが...これはしくじった。事前に情報を得ておくべきだった。ジブリだ。まるでジブリだ。以下、ネタバレを含みつつ続くので、視聴予定の人はここまでで止めておくように。取り合えず僕から言っておくと、ジブリだと思って構えてから見た方がいい。それなら中盤までいけるはずだ。中盤までいけば何とかなる。そう、途中から何かが変わる。たぶん、違うと思ったんじゃねーかなと邪推するわけだが。

 と言うわけで、以下、ネタバレ等を含みつつ、つらつらと書く。えらそうに書くけど、別に僕の感想と言うだけなので、ごめんなさい。

 しかし、なんでこんな風にしちゃったのかなぁ。サラリーマンってつらいのかなぁって思っちゃうくらいだよ。ああ、支離滅裂だと思っているだろう。違う。ここで僕がいいたいのは、これは新海誠作品だけど、監督が新海誠である必要はないよねということが言いたいのだ。

 どういうことかと言うと、これは100%、新海誠の中から生まれたものなのかって事だ。なんか、どこかの誰かたちのにおいがする。特に前半部分。具体的にいうと、主人公が野山を走るシーン、サンドイッチを食べるシーン、新任の先生が紹介されるカットあたり。いや、それが悪いというのではなくて、先生のカットとかは、1シーンでよく通じているし、サンドイッチを食べるシーンは、テーマに対して、それなりの意味を持つシーンなので、大事なシーンではあるのだが...ひどい。何が?うん、新海誠がこういう演出をする必要があるのか、って言うところで。

 これは、キャラクターデザインも狙ってやってる。わざとやってる。ジブリ似せ。何でそうしているのかはわからない。もしかしたら、お金を出す人たちの要望かもしれないし、ジブリっほい感じでやってみようってなったのかも知れない。それはわからない。正直、ストーリーという点で言えば、今までで一番ちゃんとしていると思う。ちゃんとストーリーは繋がっているし、テーマもよくかけていると思う。何より、わかりやすい。

 でも、わかりやすすぎる。

 商業的な成功とか失敗、好きとか嫌いとかは抜きにして、新海誠の作品には、ストーリーがないとか言われていた。誰が言っていたか?知らない。にちゃんねる辺りじゃない?まぁ、誰が言っていても言っていなくてもいい。少なくとも、「ほしのこえ」「雲の向こう、約束の場所」なんかは、ストーリーが破綻していると言っても過言ではあるまい。途中、なんか、はしょっちゃってて、意味通じなくなってたりするし、この二作品なんかは、みみんに見せたら、途中でわからなくなって、寝る。

 でもね、僕はそれでも、こっちの方が好きなんだ。ストーリーなんて多少壊れていたっていいんだよ。この二作品には、勢いがあるし、何より、新海誠の「こういうことがやってみたい」っていう想いが見えていた気がする。じゃあ、「星を追う子ども」はどうだ?んー...やりたかったことは「ちゃんとした映画を作ってみよう」だろうか...

 もちろん、それはそれでいいと思う。けど、長編でやる必要はなかったんじゃないかなと思う。もちろん、お金とか人とか、いろいろあってそうなったと言うこともわかるけれど、短編2本ならね...映画祭とか、賞向けならそれでいいんじゃないかなとも思うし。

 話を戻して、ストーリー。

 ストーリーはわかりやすい。きっと、みみんでも理解できる。視聴後、「3行で」と言われたので、「死者を蘇らせる事ができるという場所に行く話」と答えておいた。1行だったー!

 細かいギミックとか、世界観とかは後付けでかまわないが、骨格はこれ。で、これ以外の話は、基本出てこない。父が、なんで石を持っていたんだとか、寄り道しない。男の子が以前に住んでいた村が滅んだとかの話も出てこない。あれ?出たっけ?忘れた。でも、ストーリーは一本道。しかも、ラストは、主人公が卒業式に向かう朝のシーンだ。なんだそれ。ちくしょう、そんなの求めてないのに。

 全体として、この作品にとがったところはない。次の展開は、基本的に読める。動きは、なんかジブリっぽく動く。ここも、なんかジブリっぽく動くのであって、ジブリとは違う。サンドイッチのシーンの話を上で書いたけど、アレ、駄目だと思う。よくない。あとでテーマと絡めてなんとかしたって言う感じしかしない。いらない。おいしくなさそう。そんなシーン書くくらいなら、飛行機書いてくれた方がいい。でも、飛行機出ません。女の子助けません。ちくしょう、ジブリやるなら飛行機で女の子助ける方向でやれよ、ぜってーそっちのが面白いのに。そっちの方が、新海誠っぽいと思うのに。あ、新海誠といえば、今回モノローグ少なめです。ラストの方のカットバックの回想シーンとか出たときに、ああ、そういえば今回これすくねぇな!っていうか、このシーンもいらねーよ!とか思ってません。いや、思いました、すみません。

 「星を追う子ども」は、正直に言ってしまうと、凡庸だと思う。何分の作品かはわからないけど、長く感じるし、特にこれと言って面白い所もない。ストーリーは教科書通りだし、新海誠は、こんな作品もできるんだ!という感動も、別にない。ふーん、っていう感じ。っていうか、ストーリー的な事を言えば、今までがアレだったんであって、これくらは普通なんだと思うよ。たぶん。とはいえ、これだって、正直、シナリオ的にはどうかなって感じだけど。突っ込みどころが多すぎて、突っ込むところがないくらいで。

 正直、7,800円の価値はない。ポイント3,000円使って、5,000円くらい払ったけど、5,000円も微妙だ。3,800円ならいいかもしれない。ただし、ファン価格として。それくらい、期待していた割には、面白くはなかった。

 ただ、僕は、これはある意味では仕方のない事なのかも知れないなーと思っている。先にも書いたけれど、なんか、この作品には、ひどく嫌な他人のにおいがする。特に前半部分は、それが濃い。なんでと言われてもわかんない。ただ、そんな気がする。それがひどく作品の質を下げている気がする。ただし、途中で、それが変わる。具体的なシーンを境に変わったような感覚があるんだが、そのシーンが思い出せない。中盤だったと思う。なんでかはわからない。ただ、僕はその時に、「ああ、補正に入ったな」と思ったので、たぶん、そうなんじゃないかなーと思う。たぶん、なんか、いろいろあったんじやねぇかな?と邪推してしまう感じ。

 まぁ、そんなわけで、「星を追う子ども」は、正直、そんなに面白くない。

 ただ、ターニングポイントとしてはいい作品だと思うので、次回作には是非期待したい。「雲の向こう」の完全版をお願いしたい。中身全然違うものでもいいんで、アレを今、綺麗にやって欲しい。


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