studio Odyssey




スタジオ日誌

日誌的なもの

2010.05.28

はるのめざめ

Written by
しゅーほ
Category
雑記

 劇団四季のミュージカル『春のめざめ』を観てまいりました。

 若いねー。青いねー。春だねー。って感じです。舞台は19世紀末のドイツ。子ども達は親や教師から強圧的に支配され、大人の言うことを聞くことだけを期待されるような感じの時代。その中で若さから来る反抗心で、いろいろと問題(大人側から見たら)を起こすわけです。

 虐待、妊娠、退学、自殺、同性愛といった場面が劇中には出てきて、下品な台詞や中指なんかも出てきます。まー、問題作らしい問題作と言いますか。R-15くらいにしてもいいかな?とは思いました。

 面白いのは、ステージ場にも何席か客席があるんです。で、その中に役者が混じっていて、出たり戻ったり。アンサンブルの人たちもそこで歌います。あと、なぜか役者さんたちがワイヤレスマイクやスタンドマイクを使って歌います。みんなおでこの所にもマイクを付けているので、あれは小道具なのかな?とは思いますが。なんだろう。あれも若さなのか。

 以下ネタバレ。

 この物語、子ども達はだいたいみんな15歳くらいのようです。中学生ですかね。

 主人公メルヒオールは優等生。だけど本で読んだ事を鵜呑みにして、理想の世界への憧れが強く、おかげで現実への反発が強い。結構ストレスをため込んでいるようで、解放されると途端に極端な行動に出る。キレる子。ヒロインを妊娠させるし、他人をナイフで傷つけることもする。きっと、知識と経験のバランスが悪いのでしょう。大人側がいろいろと経験をさせなかった側面はありますが。幼馴染みの死に触れて、それでも立ち直って生きていこうとしたら退学にさせられ、ヒロインを妊娠させたことで更正施設に入れられるなど、行動の責任を過剰に取らされている印象。最後は自殺も考えるが、それでもなんとか生きていこうとする姿が描かれる。

 ヒロインのベンドラは夢みる少女。コウノトリは信じていないけど、どうやったら子どもが出来るかは知らない。親が「結婚して愛し合ったら出来るのよ」と教えられ、妊娠したと聞いたとき「まだ私結婚してないのに!?」と。また、虐待を受けた友人の話に興味を持ってメルヒオールに「枝で叩いて」と。やっぱり経験不足は否めない。これも大人が意図的に情報を遮断した部分があるけど。最後は妊娠して貧血を起こしてしまい、そのまま死亡した模様。

 モリッツは劣等生。メルヒオール、ベンドラの幼馴染み。夢に出てくるキレイな足のせいで寝不足。学業の出来が悪いため学校から追放される。学校側が出来の悪い彼を追い出したくて罠にはめた所があり、退学したと聞いた親に「お前のせいでご近所に顔向けが出来ない」と激しく罵られる。挙句の果てはピストルを朽ちに咥えて、自殺。一番かわいそうな目にあった子。親も教師も彼の味方にはなってくれなかった。そしたら15の子どもだもの、大人の味方がいないという心細さは想像を絶するモノがあります。大人絶対の世界でしたし。

 上3人のもう一人の幼馴染み、イルゼ。ちょっと壊れた子。他の女の子はスカートなのに、一人だけパンツスタイル。後半は裸足で登場。カーテンコールまで裸足。被虐待児その2。モリッツのことが好き。女の子達のグループからちょっと距離を置いている感じがある。芸術家達の溜まり場に顔を出して、ヌードモデルをやったり、酒を飲んで雪の上で寝た、など倫理的ではないエピソードがある。モリッツが自殺する直前、ワイシャツ一枚で彼の所に現われ、誘うが撃沈。でもモリッツがここで彼女の誘いの応じても、良い結末にはならなそうな気はする。

 他に女子3人、男子4人が登場し、彼らもそれぞれ若さ溢れる言動を披露してくれるのです。誰彼が好きとか、おっぱいが好きとか。物語ですので思春期の一面をオーバーに表現してはいますが、ある程度誰もが思ったこと、経験したことを思い出させてくれるようなお話です。「ブチギレそう」「マジでFuck!」(ともに曲名)なんて若さが弾けていて実に良いです。爽快爽快。

 またいずれ再演する機会があったら、観に行こうかなと思います。


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